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2021.04.01 うすくち醤油の可能性


うすくち醤油の可能性のイメージ

播磨と言えばうすくち醤油

「関東はこいくち、関西はうすくち」と言われ、醤油は地域ごとの味と食文化を表す象徴。なかでも播磨はたつのをはじめ、うすくち醤油の産地として有名です。地域住民も2つの醤油を使い分けるのはもちろん「うすくちしか使わない」という家庭もあるほど、今なおその文化は根強く残っています。では、うすくち醤油の魅力とは、一体どのようなものでしょうか。

「食べる楽しみ」を育てる力

薄い色合いが特徴のうすくち醤油ですが、近年ではこいくち醤油に比べ、意外にも塩分濃度が高いことで知られるようになりました。ところがうすくち醤油を用いる関西のうどんだしのほうが東京のうどんだしよりも塩分濃度が低いという報告があり、兵庫県立大学先端食科学研究センター員が過去に行った研究でも、うすくち醤油で調味しだしを生かすことにより、減塩料理が可能となることがわかっています。うすくち醤油の特性を生かした料理を通じて、だしや素材の風味に親しみ、味覚を育てることが減塩につながります。素材の繊細な味に気づき、識別できることで、食生活は豊かになります。うすくち醤油は、そんな「食べる楽しみ」を育てる力を持っているのです。

味付けにも、仕上げにも

うすくち醤油をうまく活用するコツのひとつは、調理の仕上げ。いわゆる「醤油味」の料理でなくとも、ひとつまみの塩を加えるように、うすくち醤油で味を整えるのです。こうすることで必要な塩分を料理に足し、旨味も加えることができます。またうすくち醤油は色合いが薄いため、料理の色味を損なうことがありません。和食はもちろん、フレンチやイタリアンなどにも用途は広がっています。まさに味付けから仕上げまで、様々な場面で使える調味料と言えるかもしれません。

刺身にうすくち醤油もあり

刺身に寿司、煮付けに照り焼きと、生食・火食問わず魚料理と醤油の関わりは深いものです。これらは、醤油によって食材の臭みを消す「マスキング効果」を活かした調理法。西洋料理では香辛料を多く使いますが、日本では古来より醤油が、その役割を担ってきました。なかでも鮮度が要の刺身は、醤油が欠かせません。こいくちやたまりなど、臭みを消す濃い醤油を使うことが多いですが、白身のような繊細な魚や鮮度の良いものであれば、うすくち醤油もまたオススメ。塩で刺身を食べる感覚で、魚そのものの味わいと新鮮さを、存分に楽しむことができます。

改めて見直したいうすくち醤油

たとえばうどん。関東は黒いおつゆ、関西は淡い色合いのおだしというように、食は地域の特徴をうつし、それこそが食文化です。時代とともに流通が進んでどこでも食べられる上、めんつゆなど合わせ調味料を使うレシピも多く、一から調味料を組み合わせてつくる家庭さえ、今や減ってきているようです。ただ健康的で、便利で広く料理に活用できるのは、うすくち醤油のよさ。改めて見直してみてはいかがでしょう。ただし時間が経つごとに熟成し、色や風味が変化するので、開封後は早めに使うことが、美味しく食べられるポイントです。

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