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2020.01.21 醸す造る地、播磨


 醸す造る地、播磨のイメージ

麹(こうじ)文化を育んだ土壌

名水を持ち、豊かに作物が実る播磨平野と、5つの河川からなる播磨五川。海の資源が豊富な播磨灘、温暖で降水量の少ない気候が、麹文化とその産業を育んだ播磨。さらに姫路城などの城が築かれた大きな都(みやこ)の一つであり、川や海に囲まれていた地勢から、東西の交通の要衝であったことも、産業を大きく発展させました。

醤油を醸す原料が揃う

こと播磨平野の北西に位置するたつの市は、醤油を醸すのに適した条件が揃っています。市内を東南に流れる揖保川の水は、やわらかく丸い口当たりの醤油をつくるのに欠かせない素材です。また、たつの市をとりまく播磨平野は大豆や小麦の一大生産地。すぐ近くにはミネラルたっぷりの赤穂の塩があり、醤油を醸す発酵菌の力強い活力源に。それらの原料が揃う土地だからこそ、古くから現在も続く“銘醸地”として知られるようになったのです。

播磨とうすくち醤油

たつの市における醤油づくりの歴史は古く、さかのぼること400年以上前。天正15年(1587年)、円尾孫右衛門が「円尾屋」の屋号で開業した酒醤油屋が、その起源と伝わっています。塩や大豆などの淡口醤油を醸すための最適な素材が揃ったことから、「龍野淡口(うすくち)醤油」が誕生しました。ちなみに素麺「揖保乃糸」も、同じく揖保川の名水が生み出した一品。美味しい醤油があってこそ味わい深い素麺もまた、播磨の名産です。

酒造りも播磨から

播磨は7世紀の終わり頃、一つの国として成り立ちました。奈良時代初期に編纂された『播磨国風土記』(はりまのくにふどき)には、麹を用いた酒造りについての記述があります。「神様に捧げた一部の蒸米にカビが生え、酒成分が生じて酒が発見された」というもの。これが、後に言う「庭酒(俄酒・にわかさけ)」で、現在に続く米飯を素材にした酒造りの製法。日本最古の手法として記録されており、そういう意味で播磨は「日本酒のふるさと」と言われるようになりました。現在も播磨五川の流域を中心に22の酒造が点在し、酒造りの伝統を守り続けています。

全国でも珍しい「庭酒」

前述の『播磨国風土記』に記録された酒造りの舞台となったのが、宍栗市一宮町にある庭田神社。神社本殿の北50mの場所に流れるぬくゐ川の水が、日本で最初の酒造りを生み出すきっかけとなりました。「はりま酒文化ツーリズム協議会」では、敷地内で採取した麹菌および酵母菌を用いて、当時の酒をイメージした日本酒「庭酒」の醸造も行っています。全国各地に銘醸地が点在する日本ですが、自然界から分離した麹菌(はりまこうじ)を使用した酒造りは、珍しいとされています。

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