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2020.01.22 米の麹(こうじ)は「糀」


米の麹(こうじ)は「糀」のイメージ

播州で続く生糀づくり

米麹は、発酵した様子があたかも白い花が咲いたかのように見えることから「糀」とも表記されます。味噌も甘酒も、品質のよい糀であることが大切。播磨は姫路市白浜町にある、明治10年創業の手造り味噌・甘酒・糀製造元の「小松屋」では、味噌や甘酒、しお糀づくりのもととなる「生糀」を、昔ながらのせいろ(木箱)を用いた方法で手づくりし、各家庭向けに販売しています。

昔ながらの「せいろ糀」

小松屋では、「室蓋式製麹法」という手法で、4日間かけて糀を造ります。まずは約200㎏の米を洗い、一晩水に浸けてボイラーで蒸すことから。冷まして適温になったら麹菌を手早く混ぜ、「床(とこ)」と呼ばれる木の箱に移し、約12時間寝かせます。夜になったら、床の米の外側と内側をまぜる「床もみ」を行い、米の温度を均一にするとともに、麹菌に酸素を補給し、発酵をうながします。3日目の早朝より、せいろ一枚ずつに発酵しはじめた蒸米を盛り、昼前からはせいろをずらして温度調整をする「広げ」の作業をし、そして夕方には、せいろに盛られた蒸し米を指先でうすく広げる「仕舞仕事」の作業をします。米の質や、その日の気温や湿度を読み、せいろをずらす勘どころは、まさに職人技。一晩中温度管理をして、4日目の朝を迎える頃には、真っ白な花のような糀が、せいろいっぱいに広がるようすが見られ、出糀となります。

手づくりで甘酒を

こうしてできあがった糀は、さまざまな用途で用いられます。その一つ、甘酒の造り方を紹介しましょう。できたての糀をせいろからはずす「こぐ」という作業を行いながら、甘酒の材料となる米を少し柔らかめに炊きます。5分程蒸らして炊きあがったら米と糀を撹拌器で混ぜ合わせた後、仕込み桶に移して表面を平にし、毛布でくるみ温度を58~60度に保ちながら2日間かけて熟成させます。こうして手づくりの甘酒が完成します。

お祭りには甘酒

姫路市白浜町では「灘のけんか祭り」として知られる秋祭りが行われ、小松屋では夏の終わり頃より、糀(米麹)と甘酒造りの佳境に入ります。ブドウ糖をはじめ、必須アミノ酸やビタミンB1、B2、B6が多く含まれ、江戸時代には栄養ドリンクのように飲まれていた甘酒。ゆえに播州の秋祭りでは、かつてどの家庭でも甘酒をつくっては神棚や仏壇にお供えし、客人をもてなしていました。現在もその風習は残り、糀を買って甘酒を作ったり、小松屋などの醸造業者の甘酒を用意する家庭も多いようです。

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